久しぶりの恋愛映画
ふと思い立ち
映画を見に行くことに。
東京 パリ ニューヨークを舞台にした
『マチネの終わりに』
頬を伝う一筋の涙。
スクリーンに映る石田ゆり子。
気づけば自分がまるで
そこにいるかのような錯覚をするほどに
この美しい世界に入り込んでしまっていた。
映画が終わる頃には
私はゆり子になっていた。
(ゆり子ファンの皆さまごめんなさい)
木々が秋色に染まるパリの小径を
ハイヒールで颯爽と歩くゆり子のように
映画館からの帰り道を歩くところまで
完璧に妄想できていた。
エンドロールの文字列を見ながら
ギターの音色に酔いしれ
のちに訪れる暗闇。
終わった。
ほぅっと漏れる息。
始まる衣擦れの音。
そして劇場が明るくなった瞬間
私はもう完全にゆり子だった。
座席から立ち上がったその時…
まった~く記憶にございませんっ🎶
まった~く記憶にございませんっ🎶
という、ふざ…いや、軽快なBGM
ゆり子になりきっていた私は動揺した。
階段を踏み外すかと思った。
危なかった。
壁際で良かった。
よろけてもたれ掛かった
映画館の壁を初めて触った。
柔らかいんだな。もふもふ。
じゃあ なくて!
んー、もう何がどうなっているのか
さっぱり分からない。
頭の中がとても混乱している。
ゆり子は?
雅治は?
まだ一筋 湿っていた右の頬を
嘲笑うかのように
脳内では
ちょんまげ姿の植木等が
ニヤケながら歌っている。
まった~く記憶にございませんっ🎶
なんで?
あぁ、そんな言葉の映画もやってたっけ。
そして私の中のゆり子は消えた。
……………
さて、
現実に帰ろうか。
そうだ、
今夜のおかずに1品足そうかな。
ちくわを。
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あーん、もうちょっと
余韻に浸っていたかったよー 泣
ちなみに、
記憶にございませんの歌は
植木等さんじゃありません。
中井貴一さんだそうです。
写真は公式からお借りしました。
ちくわのくだりはわかる人いるのかな?